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2020年08月03日
オウム

色々連想される語なので初めに説明しておくと、鳥のオウムである。つい二三日前まで鳥部の字を整理しており、他にも気になる語がある中、心に響いてきたのでここで取り上げてみたい。
オウムを検索すれば、漢字で普通に「鸚鵡」と変換される。書くとなれば結構難しいが、検索の候補として選ぶならそれほどでもあるまい。
この他、「鸚䳇」という字を使うことがある。つまり「鸚鵡」「鸚䳇」は通用するわけだ。
どちらを使っても古臭い字であるが、私はこれまで「オウム」という語の漢字による仮借字だと思っていた。それも近代になって、使われ始めたように感じていた。
ところが、後漢代に編まれた『説文解字』という辞書に「鸚」も「鵡」も載っていて、どうやら「オウム」という鳥らしいということが分かってきた。ほぼ二千年前のことである。ここで少しばかり検証してみよう。
「鸚」は「鸚 鸚䳇 能言鳥也 从鳥 嬰聲」(四篇上371)
「䳇」は「䳇 鸚䳇也 从鳥 母聲」(四篇上372)
お気づきになったと思われますが、題字として「鸚」「䳇」は連続している。漢字は単音節語で一文字一文字に意味があるから、御覧のように「鸚」だけでも「鸚䳇」を表せるし、「䳇」だけでも可能だ。
ところがなぜか「鳥部」では連語で鳥の種名を表すことが多い。ここでも「鸚䳇」という連語で説明されているのは、少なくとも当時すでに連音節の「オウム」に近い音で認識されていたと言えよう。実際にオウムが物言う鳥として知られていたと考えてよいのではあるまいか。
この点、更に遡れるようである。
『山海經』に「曰黄山 有鳥焉 其狀如鴞 惘赤喙 人舌能言 名曰鸚䳇」(卷二 西山經第二)とあり、前漢代でも知られていた。
こうなると最上流まで行きたいが、私の知る所では『禮記』が限界である。
「鸚鵡能言 不離飛鳥」(卷第一 曲禮上)とあって、「鸚鵡」がやはり「オウム」であることは間違いあるまい。
『禮記』がいつごろ今のような形になったかは諸説あるが、私は本筋については春秋代から周代まで遡れる気がしている。とは言え、さすがに甲骨文までは遡れまい。
となれば、「オウム」はほぼ周代まで遡れる語ということになる。
「オウム」の生息域は熱帯地方だから、まだ私は語の成立について腑に落ちていない。かつてオウムが南方からもたらされたのか、それとも中国にも生息していたのか。
連語である点からすれば、仮借字とみて、南方との交易で中国へ入ってきた可能性をまず考えている。
髭じいさん

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