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2018年10月01日

上井山

恐らくは「かみ−いやま」と読む。井山は郡上八幡南町にある地名で、ずっと気になっているが、「上−井山」と「上」がつくのを見るのは稀である。
一般に井山は山の麓にあって、いたるところで水が涌く所をさす場合が多い。ここでも同じで、今でも何か所か現役で使われているようである。
井山については、いずれレポートするとして、今回は「上」の音訓に焦点をあわせてみたい。「上」は音が現代音で「ジョウ」、旧の仮名遣いでは「ジャウ、シャウ」あたりとみている。ここらあたりで言うと「郡上」は一般に「グ−ジョウ」で、旧音は「ク−シャウ」と書かれている例を見たことがある。
「郡上」の「郡」は「グ」ないし「ク」なのか。『古事記』の仮名は有声音で始まる例が少ない。「グン」「クン」の議論もあるので知ったかぶりはできないところ。ただ郡上四郷のうち、これまで「安郡郷」を「アグ−郷」と読む可能性について書いてきた。私はこれを西和良の「アグ」に関連すると考えている。とすれば、確かに「郡」「群」を仮名風に「グ」「ク」と読みたくなる。
飛騨筋に「上呂」「中呂」「下呂」があり、「上呂」は現代仮名では「ジョウ−ロ」なのでやはり音読みである。
これに対し訓読みは二通り使われる。一つは「かみ」で、「上ミ」「カミ」などと記される。
私の印象では、川の上流中流下流などのように平面を区分する場合が多いように思う。
地名に関して言うと、まず「上之保」「中之保」「下之保」、「上切」「中切」「下切」が思い浮かぶ。後者を取り上げてみると、殆ど「切」の字が使われていることから大字を三つに「切る」などという意味が考えられるが、「中切」を「中刳(ぐ)り)」と解する説を見たことがある。『和名類聚抄』で「上ミ」は「加美」「賀美」、「ナカ」は「那賀」「那珂」、「下モ」は「資母」と表記されることが多い。
ただ郡上で「上切」「中切」「下切」の三つがそろっているのは稀で、私の知る限り、旧美並村の大原だけである。
もう一つの訓は「うえ」で、「ウヘ」「上エ」などと記される。この場合は、「上エ」「下タ」が対で、「中」はあまり見ない気がする。
郡上の地名や使い方を見ると、高低差を念頭に置くことが多いかも知れない。殆ど「下モ切」なのに那比の森には「下タ切」があるので、あるいは「上エ切」があったかのもしれない。明宝の畑佐には「上エ上ミ切」「上エ下モ切」、「下タ上ミ切」「下タ下モ切」がある。読めますか。混乱するかもしれませんね。
ただ高低差を言う場合は、「空(そら)切」「平(ひら)切」などの用例があるので一通りではなさそうだ。
髭じいさん

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